市から空き家のことで通知が来た。どの段階で、何が起きるのか
2026年9月時点の内容です
段階は決まっています。自分がどこにいるか確認してください
空家等対策の推進に関する特別措置法で、原則の順番が決まっています。ただし例外が2つあります。所有者が分からない場合の略式代執行と、災害などの非常時の緊急代執行は、命令の段階を経ずに行われます。
| 段階 | 何が来るか | 税金 | 強制力 |
|---|---|---|---|
| 調査 | 現地確認・所有者への問い合わせ | 変わらない | なし |
| 助言・指導 | 改善してくださいという通知 | 変わらない | 行政指導(強制力なし) |
| 勧告 | 期限を切って措置を求める通知 | 住宅用地の特例が外れる | 行政指導 |
| 命令 | 措置を命じる通知(特定空家のみ) | 外れたまま | 違反は過料 |
| 行政代執行 | 市が工事をして費用を請求(特定空家のみ) | — | 強制 |
「管理不全空家」と「特定空家」は別ものです
| 管理不全空家等 | 特定空家等 | |
|---|---|---|
| 状態 | 放置すれば特定空家等になるおそれがある | 放置すれば著しく保安上危険・衛生上有害となるおそれがある、または現に著しく景観を損なっている |
| できる措置 | 指導・勧告まで | 助言指導・勧告・命令・代執行 |
| 強制的に壊されるか | ありません(法律に定めがない) | 命令に従わない場合はあり得る |
| 新設時期 | 2023年12月13日から | 2015年から |
管理不全空家には、命令も代執行もありません。2023年の法改正で新しくできた、早い段階で手を打つための仕組みです。市から見れば「まだ危険ではないが、このままだと危なくなる」という予告です。
何を見て判断されているのか
国のガイドラインに判断の目安があり、市町村がこれを元に独自の基準を作っています。外から見て分かる状態が中心です。
- 建物の傾き:管理不全の水準は、わずかな傾斜が出ている段階から
- 外壁:ひび割れや欠損が下地まで達している(特定空家は、既に落下した形跡がある段階)
- 屋根:屋根材の剥離やずれがある(特定空家は、既に落下した形跡)
- 塀・門・擁壁:ブロックがずれている、わずかでも傾いている
- 窓・開口部:割れたまま放置され、人が入れる状態
- ごみ・雑草・立木:堆積、繁茂、枝の越境。ねずみや害虫の発生のおそれ
勧告を受けると、税金はどう変わるのか
家が建っている土地は「住宅用地の特例」で課税標準が圧縮されています。勧告を受けると、これが外れます。
| 区分 | 範囲 | 固定資産税の課税標準 | 都市計画税 |
|---|---|---|---|
| 小規模住宅用地 | 1戸あたり200㎡まで | 評価額 × 1/6 | 評価額 × 1/3 |
| 一般住宅用地 | 200㎡を超える部分 | 評価額 × 1/3 | 評価額 × 2/3 |
よく「6倍になる」と言われるのは、この1/6が外れることから来ています。ただし厳密に6倍になるとは限りません。住宅用地以外の宅地には負担調整措置があり、課税標準額には評価額の70%という上限が働きます。200㎡を超える部分はもともと1/3です。
勧告は撤回されます。上がったままではありません
ここが最も知られていない点です。指摘された箇所を直し、市が改善を確認すれば、勧告は撤回され、住宅用地の特例は戻ります。(撤回は市の認定によるもので、自動的に行われるものではありません。改善が不十分と判断されれば撤回されないこともあります)
- 指摘された措置を実施する(草木の伐採、塀の補修、窓の閉鎖など)
- 市に完了の届出をする(黙って直しても市は把握しません)
- 市が現地を確認する
- 「管理不全空家等でなくなった」と認定し、勧告を撤回する
- 市の税務部局に情報が渡り、次の課税から特例が戻る
全国でどのくらい進んでいるのか
国土交通省の集計(2025年3月末時点の累計)では、次のようになっています。
| 措置 | 特定空家等 | 管理不全空家等 |
|---|---|---|
| 助言・指導 | 42,768件 | 3,211件 |
| 勧告 | 4,153件 | 378件 |
| 命令 | 551件 | — |
| 行政代執行 | 286件 | — |
| 略式代執行(所有者不明) | 592件 | — |
| 緊急代執行(災害など非常時) | 12件 | — |
指導までで止まっている件数が大半です。特定空家で見ると、指導まで来た約4万3千件のうち、勧告に進んだのは約1割。代執行(行政代執行286件・略式代執行592件・緊急代執行12件の合計890件)まで行ったのは約2%です。
所有者が自分だけではない場合
相続人が複数いる、連絡が取れない相続人がいる。この状態で通知が来ると動けなくなります。
- 管理不全建物管理制度(民法264条の14):管理が不適切な建物について、裁判所に管理人を選任してもらう制度
- 所有者不明建物管理制度(民法264条の8):所有者が分からない建物についての制度
- 相続財産清算制度:相続人が全員放棄している場合など
市町村長にも、これらの選任を裁判所に請求する権限があります。市に相談すれば、市の側から動けることもあります。一人で抱えずに、担当課に事情を伝えてください。
通知が来たときにやること
- 封書の中の「段階」を確認する。助言・指導か、勧告か。ここで税金の扱いが変わります
- 市の担当課に電話する。何をどこまで直せば良いか、期限はいつかを聞く。担当者名を控える
- 現地の写真を撮る。直す前の状態を残しておく
- 直せる範囲か、費用がかかるかを判断する。草木の伐採だけなら数万円で済むことも多い
- 直したら必ず市に届け出る
- 直すのが難しい、あるいは今後も管理できない見込みなら、手放すことも選択肢に入れる
指摘された箇所を直して、勧告を撤回してもらう
向いている人:家をまだ手放したくない方。草木の伐採や部分的な補修で済むことも多く、費用対効果は最も高い選択です。
注意点:管理は続きます。放置すればまた同じ通知が来ます。遠方の方には毎回の負担が残ります。
解体して更地にする
向いている人:建物の傷みが進んでいて、補修では追いつかない場合。近隣への危険を断てます。
注意点:解体費用がかかります。さらに、更地にすると翌年から住宅用地の特例がなくなり、土地の固定資産税は上がります。勧告を受けた場合と結果が変わらないこともあります。
売却する
向いている人:今後も管理できる見込みがない方。所有者が変われば勧告の効力も失われ、管理の負担から離れられます。
注意点:傷みが進んだ家は買主が限られます。仲介では時間がかかることがあり、その間も管理は続きます。
管理を委託して持ち続ける
向いている人:将来使う予定がある方、思い入れがあって手放せない方。
注意点:継続的な費用がかかります。建物の傷みは止まらないため、いずれ判断が必要になります。
よくあるご質問
通知を無視したらどうなりますか。
管理不全空家の場合は指導の次が勧告で、そこで住宅用地の特例が外れます。特定空家の場合は、勧告のあと命令、行政代執行まで進む可能性があり、代執行の費用は所有者に請求されます。
もう固定資産税が上がってしまいました。もう戻りませんか。
戻ります。指摘された措置を実施して市に届け出れば、勧告は撤回されます。ただし1月1日時点の状態で判定されるため、年内に撤回まで終えることを目指してください。
相続人が5人いて、誰も動きません。
共有者の一人でも、保存行為として草木の伐採などはできます。売却や解体には全員の同意が必要ですが、まず危険な状態を止めることは一人でも可能です。
遠方に住んでいて、現地に行けません。
市の担当課に電話で事情を伝えれば、状況の写真を送ってもらえることがあります。当社でも、外まわりの確認と写真の送付をしています。ご相談ください。
壊すしかないと言われました。本当ですか。
管理不全空家の段階では、市に解体を求める権限はありません。特定空家で命令が出ている場合は別です。まず通知の段階を確認してください。
通知の内容を見て、どうすればよいか一緒に整理します
荷物が残ったまま・登記が古いまま・長屋のまま、どんな状態でも大丈夫です。
「まだ売ると決めていない」段階のご相談も無料。しつこい営業はしません。
9時〜21時(土日祝も受付)/「空き家ヘルプを見た」とお伝えください
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藤尾 涼太(宅地建物取引士(大阪)第122075号)
八尾市を中心に、大阪・奈良・兵庫で空き家の売却と買取を担当しています。市役所や制度の内容は、公表資料の確認に加えて、必要に応じて各市の窓口に直接確認したうえで書いています。
- 運営
- 株式会社日本トータルプロデュース
- 所在地
- 大阪府八尾市南植松町5丁目182 日本TPビル
- 免許
- 宅地建物取引業 大阪府知事(2)第60824号
- 所属
- 公益社団法人 全日本不動産協会 会員
- 電話
- 072-990-6686(9時〜21時(土日祝も受付))
