相続した空き家を売るときの特別控除。期限は「3年」だけではありません
2026年9月時点の内容です
期限は二重にあります
どちらか早いほうが、あなたの締切です
- ①個別の期限:相続開始日(亡くなった日)から3年を経過する日の属する年の12月31日まで
- ②制度の期限:2027年(令和9年)12月31日までの譲渡であること
①の読み方は「亡くなった年の3年後の、年末まで」です。たとえば2023年5月に亡くなった場合、2026年12月31日が期限になります。
| 亡くなった日 | ①3年の期限 | ②制度の期限 | 実際の締切 |
|---|---|---|---|
| 2023年5月10日 | 2026年12月31日 | 2027年12月31日 | 2026年12月31日 |
| 2024年8月1日 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
| 2025年3月20日 | 2028年12月31日 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
| 2026年1月5日 | 2029年12月31日 | 2027年12月31日 | 2027年12月31日 |
使えるかどうかの条件
家の条件(3つとも満たす必要があります)
- 昭和56年5月31日以前に建築された家であること(旧耐震のもの)
- 区分所有登記がされた建物でないこと(分譲マンションは対象外)
- 亡くなる直前に、被相続人が一人で住んでいたこと(同居者がいた場合は対象外)
売り方の条件
次のどちらかである必要があります。
- 耐震基準に適合させて、家ごと売る
- 家を全部取り壊して、土地として売る
つまり、旧耐震の家をそのまま売ると使えません。耐震改修するか、壊すかのどちらかが必要です。
その他の条件
- 家屋と敷地の両方を、相続または遺贈により取得していること(遺産分割で土地だけ・建物だけを取得した方は使えません)
- 売却代金が1億円以下であること
- 相続の時から売却まで、事業・貸付け・居住に使っていないこと
- 取壊した場合は、更地のまま売ること
- 親子・夫婦など特別の関係がある人への売却でないこと
- 相続税の取得費加算の特例を使っていないこと
- 同じ被相続人からの相続について、過去にこの特例を使っていないこと(一度きりです)
- 確定申告をすること(申告して初めて適用されます)
2024年から緩和されました。ここを知らない方が多い
解体・耐震改修は、売ったあとでもよくなりました
以前は「引渡しまでに」解体または耐震改修を終えている必要がありました。2024年1月1日以後の譲渡からは、譲渡した年の翌年2月15日までに解体または耐震改修を行えば適用されます。
つまり、売主が先に自腹で解体しなくても済むようになりました。買主に引き渡してから、買主が解体する形でも使えます。
これは実務上とても大きい変更です。以前は「解体費用を先に出せないから特例を諦める」という方がいましたが、いまは売買契約の中で買主が解体することを取り決めておけば適用できます。
もうひとつの変更:相続人が3人以上だと控除額が下がります
2024年1月1日以後の譲渡から、その家と土地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額は一人あたり2,000万円になります(2人以下なら一人あたり3,000万円のまま)。
老人ホームに入っていた場合
「最後は施設にいたから、家に住んでいたことにならないのでは」と心配される方が多いのですが、条件を満たせば使えます。
- 入所の時点で要介護認定・要支援認定または障害支援区分の認定を受けていたこと
- 入所から亡くなるまで、その家を物品の保管などに使っていたこと
- その間、貸したり、他の人が住んだりしていないこと
- 他に主に住んでいた家がないこと
- 入所する直前に、被相続人以外に住んでいた人がいなかったこと
必要な書類と、取得にかかる時間
- 譲渡所得の内訳書
- 売った不動産の登記事項証明書
- 被相続人居住用家屋等確認書(物件所在地の市区町村で交付を受けます)
- 耐震基準適合証明書、または取壊しを証する登記事項証明書
- 売買契約書の写し(1億円以下であることを示すため)
他の特例との関係
| 制度 | 併用 |
|---|---|
| 相続税の取得費加算の特例 | 併用できません。どちらか有利なほうを選びます |
| 自宅を売ったときの3,000万円控除 | 併用できますが、同じ年に合わせて3,000万円が上限です |
| 住宅ローン控除 | 併用できます |
| 小規模宅地等の特例(相続税) | 併用できます(別の税の制度です) |
相続税を納めた方は、取得費加算とどちらが有利かの比較が必要です。金額によって答えが変わるので、必ず税理士に試算してもらってください。
共有で売る場合の落とし穴
兄弟で相続して、持分ごとに売るケースがあります。このとき1億円以下かどうかの判定は、共有者全員の売却代金を合算して行います。自分の持分だけで見てはいけません。
さらに、一体で使っていた土地を分けて別々に売った場合、相続の時から、この特例を使って売った日から3年を経過する日の属する年の12月31日までの間に売られた分が合算されます。
解体せずに売り、買主に解体してもらう
向いている人:解体費用を先に出せない方。2024年の改正でこの形でも特例が使えるようになりました。時期も早く確定できます。
注意点:買主が期限までに解体することを契約で確実にしておく必要があります。特約の作り方が結果を決めます。
自分で解体してから、更地で売る
向いている人:土地として売ったほうが高く売れる立地の場合。買主の層が広がります。
注意点:解体費用を先に負担します。また、更地にした年の翌年から土地の固定資産税の軽減が外れます。売れるまでの期間が読めないと負担が続きます。
耐震改修をして、家ごと売る
向いている人:建物にまだ使える価値がある場合。
注意点:旧耐震の家の耐震改修は費用が読みにくく、工期もかかります。期限が迫っている場合には向きません。
特例を使わずに売る
向いている人:そもそも譲渡所得が出ない場合(取得費や譲渡費用のほうが大きい場合)は、特例を使う必要がありません。
注意点:相続した古い家は取得費が分からないことが多く、その場合は売却代金の5%を取得費とみなすため、譲渡所得が大きく出ます。確認せずに諦めないでください。
よくあるご質問
昭和57年に建った家です。1年違いで使えませんか。
昭和56年5月31日以前の建築であることが条件なので、残念ながら対象外です。ただし建築確認を受けた日と、登記上の建築年月日がずれていることがあります。確認する価値はあります。
父が亡くなった後、しばらく弟が住んでいました。
相続の時から売却まで居住の用に供していないことが条件なので、使えません。相続後に一時的に住んだ場合も同じです。
取得費が分かりません。
売買契約書が残っていない場合、売却代金の5%を取得費とみなす方法があります。この場合、譲渡所得が大きく出るため、特例が使えるかどうかの影響が大きくなります。まず建築年を確認してください。
マンションですが使えますか。
区分所有登記されている建物は対象外です。ただし、区分所有登記がされていない共同住宅(一棟丸ごと所有していた場合など)は対象になり得ます。
期限まであと1年を切っています。間に合いますか。
買主が解体する形にすれば、解体工事の期間を待たずに引き渡せるので間に合う可能性があります。ただし市役所の確認書の取得に時間がかかります。まず建築年と同居者の有無を教えてください、使えるかどうかを先に判定します。
使えるかどうかの判定だけでも、お受けします
荷物が残ったまま・登記が古いまま・長屋のまま、どんな状態でも大丈夫です。
「まだ売ると決めていない」段階のご相談も無料。しつこい営業はしません。
9時〜21時(土日祝も受付)/「空き家ヘルプを見た」とお伝えください
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藤尾 涼太(宅地建物取引士(大阪)第122075号)
八尾市を中心に、大阪・奈良・兵庫で空き家の売却と買取を担当しています。市役所や制度の内容は、公表資料の確認に加えて、必要に応じて各市の窓口に直接確認したうえで書いています。
- 運営
- 株式会社日本トータルプロデュース
- 所在地
- 大阪府八尾市南植松町5丁目182 日本TPビル
- 免許
- 宅地建物取引業 大阪府知事(2)第60824号
- 所属
- 公益社団法人 全日本不動産協会 会員
- 電話
- 072-990-6686(9時〜21時(土日祝も受付))
