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相続人が複数いて、実家の話がまとまらない

2026年9月時点の内容です

兄弟の一人が反対している。連絡が取れない相続人がいる。話し合いをすると昔のことがむし返される。空き家が動かない理由で最も多いのが、これです。建物の問題ではなく、人の問題なので、時間が経っても勝手には解決しません。むしろ相続が重なって相続人が増えていきます。どこから手をつけるかを整理します。

まず、いまの状態を正確に把握する

「兄弟3人で相続した」と思っていても、登記上は違うことがあります。

  1. 登記事項証明書を取る。法務局で取れます。今の名義が誰か、抵当権が残っていないかが分かります
  2. 名義が親のままか、祖父母のままかを見る。祖父母のままなら、相続が二重に起きています
  3. 相続人を数える。二重相続の場合、いとこやその子どもまで含めて10人を超えることがあります
名義が祖父母のままの場合、話し合う相手は兄弟だけではありません。叔父叔母、そのお子さん、さらにその配偶者まで関係してきます。こうなると当事者だけで進めるのは困難です。早い段階で司法書士に入ってもらってください。
相続人の数は、年を追うごとに増えます。減ることはありません。「もう少し落ち着いてから」と待つことが、そのまま難易度を上げています。

何をするのに、誰の同意が必要か

全部に全員の同意が要るわけではありません。ここを分けて考えると動けることがあります。

やること 必要な同意
草木を切る、外まわりの危険を止める(保存行為) 一人でできます(民法252条5項)
現況を確認する、査定を取る 一人でできます
短期の賃貸など(管理行為) 持分の価格の過半数(頭数ではありません/民法252条1項)
売却 共有者全員(民法251条1項)
解体 共有者全員。建物を壊すことは共有物の変更にあたり、法律上、全員の同意が必要です
自分の持分だけを売る 一人でできます(ただし下記の注意あり)
持分は「頭数」ではなく「価格(割合)」で数えます。たとえば配偶者が2分の1、子2人が各4分の1という相続では、人数では3人中2人でも、配偶者1人の同意だけで持分の過半数になることがあります。相続では持分が不揃いになりやすいので、ここを人数で考えると結論が変わります。
片付けには注意が必要です。草木を切ることや、外から見て危険な状態を止めることは保存行為として一人でできます。ただし家財道具など遺産そのものを処分すると、「相続財産の処分」にあたって相続を承認したとみなされ、相続放棄ができなくなることがあります(民法921条1号)。借金の有無がはっきりしないうちは、家の中の片付けを始めないでください。

「話がまとまらないから何もできない」ではありません。危険な状態を止めることと、情報を集めることは、あなた一人で進められます。市から通知が来ている場合は、まずこれをやってください。

まとまらない理由は、たいてい3つのどれかです

1. 金額の感覚が違う

「もっと高く売れるはずだ」という人が一人いると止まります。多くの場合、その人は実際の査定を見ていません。

対処法ははっきりしていて、複数の会社から書面で査定を取り、全員に同じものを見せることです。口頭で伝えると「安く買い叩かれている」という話になりがちですが、書面が3通並ぶと話が変わります。

2. 誰かが住んでいる、荷物を置いている

相続人の一人がまだ物を置いている、あるいは住んでいる。この場合、その人にとっては現状維持がいちばん得なので、動く理由がありません。

期限を作ると動くことがあります。相続空き家の特別控除の期限、相続登記の期限など、外から来る締切は説得材料になります。

3. 昔の話が絡んでいる

介護の負担、生前の援助、家の建て替え費用。これは不動産の話ではないので、不動産の話としては解決しません。

この場合、当事者だけの話し合いは消耗するだけです。弁護士か、家庭裁判所の遺産分割調停を使ってください。調停は「争う」ための場ではなく、第三者に間に入ってもらう場です。使ったほうが早く、人間関係も残ります。

動かないまま期限が来るものがあります

  • 相続登記:2024年4月から義務。施行前の相続は2027年3月31日まで(または不動産を取得したと知った日から3年のいずれか遅いほう)。まとまっていなくても、相続人申告登記なら一人で、費用をかけずに義務を果たせます
  • 相続空き家の特別控除:相続開始日から3年を経過する日の属する年の12月31日まで、かつ制度自体が2027年12月31日まで。早いほうが締切です
  • 相続税の申告:10か月。分割がまとまらなくても、いったん法定相続分で申告する必要があります
相続人が3人以上の場合、特別控除の額が下がります。2024年1月1日以後の譲渡から、その家と土地を取得した相続人が3人以上いる場合、控除額は一人あたり3,000万円ではなく2,000万円になります。兄弟が多いご家庭ほど関係する話なので、手取りの試算をする前に確認してください。
話し合いが終わるのを待たずに、期限だけ先に止めてください。相続人申告登記は一人で、オンラインで、登録免許税なしでできます。ただしこれは権利関係を公示するものではないので、売却や担保設定はできません。また、遺産分割が成立したら、その日から3年以内に改めて相続登記をする義務が生じます。

どうしてもまとまらない場合の出口

遺産分割調停・審判

家庭裁判所に申し立てます。調停委員が間に入って話を整理し、まとまらなければ審判で裁判所が決めます。遺産分割がまとまっていない段階では、これが本筋の手続きです。時間は半年から数年かかります。

ここは誤解が多いところです。「共有だから共有物分割請求訴訟をすればよい」と考えがちですが、遺産分割がまだ済んでいない共有(遺産共有)については、共有物分割の訴えを起こすことができません(民法258条の2第1項)。地方裁判所ではなく、家庭裁判所の遺産分割手続に一本化されています。例外は相続開始から10年を経過した場合で、このときは共有物分割の訴えができます(ただし他の相続人が2か月以内に異議を申し出たときはできません/同条2項・3項)。

連絡が取れない相続人がいる場合

「連絡を無視している」のと「所在が分からない」のとでは、取る手続きが違います。

  • 連絡はつくが返事をしない:内容証明で意思確認をしたうえで、遺産分割調停を申し立てます。裁判所からの呼び出しには応じる方が多いです。なお管理行為については、催告しても賛否を明らかにしない共有者を除いて過半数で決められる制度があります(民法252条2項2号)
  • 所在が分からない・行方不明不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てます(民法25条)。管理人が選ばれ、権限外行為の許可を得れば、遺産分割や売却を進められます。遺産分割が済んでいない段階では、これが実務上の中心的な手段です
  • 相続開始から10年を過ぎている場合:所在等不明共有者の持分を取得する制度、持分の譲渡権限を付与してもらう制度が使えることがあります(民法262条の2、262条の3)。10年を過ぎていないと使えません

自分の持分だけを売る

共有持分は、他の共有者の同意がなくても売ることができます。買い取る会社があります。

ただし注意点が3つあります。
価格が大きく下がります。買った側は結局、他の共有者と交渉する必要があるためです。
遺産分割前に相続分を第三者に譲り渡した場合、他の相続人は価額と費用を償還して取り戻すことができます(民法905条)。この権利は1か月以内に行使する必要がありますが、買主の地位はその間不安定です。
③ 見知らぬ第三者が共有者になることで、他の相続人との関係は修復が難しくなります。
最後の手段です。当社は、まず全体での売却を提案します。
経験上、ここまで来るケースはまれです。ほとんどは「全員が同じ情報を見ていない」ことが原因で止まっています。査定書と、期限の一覧と、手取り額の試算。この3つを全員に配ると、それだけで動くことが多いです。

当社でできること

  • 相続人全員に同じ資料をお送りします。査定額、想定される手取り、税の期限をまとめた書面を、遠方の方にも郵送します
  • 窓口を一本にできます。代表の方お一人とやり取りし、他の方には書面でお伝えする形にもできます
  • 司法書士・税理士・弁護士におつなぎします。登記、税の試算、調停の相談はそれぞれの専門家の領域です
  • まとまらない間の管理もお受けできます。草木の伐採や外まわりの確認は、共有者お一人の依頼で可能です

取引の形について先にお伝えします。当社は、他の買主をお探しする(仲介)ほかに、当社が直接買主となって買い取ることもあります。買取は荷物や傷みをそのままにでき、時期を早く確定できますが、個人の買主に仲介で売る場合よりも価格は下がります。共有の案件では、全員が同じ日に決済できることを優先して買取をお選びになる方もいれば、価格を優先して仲介をお選びになる方もいます。両方の条件をお伝えしたうえでお選びいただきます。

全員で合意して、一括で売る

向いている人:全員の同意が取れる場合。一般に最も高く売れ、同じ日に全員が決済できるため、後腐れがありません。

注意点:全員の同意と、全員分の書類(印鑑証明・実印)が必要です。一人でも欠けると成立しません。

一人が買い取って、他に金銭を払う

向いている人:家を残したい方がいる場合。実家を人手に渡したくないという方に向きます。

注意点:買い取る側に資金が必要です。金額の折り合いがつかないことが多い方法です。

遺産分割調停を申し立てる

向いている人:話し合いが感情的になってしまっている場合。第三者が入ることで前に進みます。まとまらなければ審判で裁判所が判断します。

注意点:半年から数年かかります。その間も固定資産税と管理は続きます。

自分の持分だけを売る

向いている人:他の相続人と関わりたくない、自分の分だけ清算したい場合。一人で実行できます。

注意点:価格が大きく下がります。遺産分割前だと、他の相続人が価額を償還して取り戻せる制度もあります(民法905条)。他の相続人との関係は修復が難しくなります。最後の手段です。

よくあるご質問

連絡を無視している兄弟がいます。

連絡はつくが返事がないのか、所在そのものが分からないのかで手続きが変わります。前者なら内容証明で意思確認をしたうえで遺産分割調停。後者なら不在者財産管理人の選任を家庭裁判所に申し立てます。いずれの場合も、まず相続人申告登記でご自身の登記義務だけ先に果たしておいてください。

相続人の一人が認知症です。

判断能力の程度により、成年後見・保佐・補助のいずれかの申立てが必要になります。よく「後見人が付くと家庭裁判所の許可がないと不動産を売れない」と言われますが、家裁の許可が要るのは、ご本人が住んでいる(居住用の)不動産を処分する場合です(民法859条の3)。相続した実家がご本人の居住用でなければ、許可なしに売却できます。いずれにしても手続きに時間がかかるので、早めに司法書士か弁護士にご相談ください。

相続放棄をした人がいます。

放棄した人は最初から相続人でなかったことになるので、同意は不要です。ただし次順位の相続人(親、兄弟姉妹など)に相続権が移るため、相続人が増えることがあります。

遠方の相続人がいて、集まれません。

売買の手続きは持ち回りでできます。全員が同じ場所に集まる必要はありません。当社では、遠方の方に書類を郵送してやり取りする形を通常取っています。

誰が代表で話せばいいですか。

決まりはありません。連絡がつきやすい方で構いません。当社は代表の方とやり取りしますが、重要な条件は全員に書面でお伝えします。あとで「聞いていない」となるのを防ぐためです。

まとまっていない段階でのご相談で大丈夫です

荷物が残ったまま・登記が古いまま・長屋のまま、どんな状態でも大丈夫です。
「まだ売ると決めていない」段階のご相談も無料。しつこい営業はしません。

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このページを書いている人

藤尾 涼太(宅地建物取引士(大阪)第122075号)
八尾市を中心に、大阪・奈良・兵庫で空き家の売却と買取を担当しています。市役所や制度の内容は、公表資料の確認に加えて、必要に応じて各市の窓口に直接確認したうえで書いています。

運営
株式会社日本トータルプロデュース
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大阪府八尾市南植松町5丁目182 日本TPビル
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